老人と犬

  • 2008/07/13(日) 22:54:10

朝に夕に、散歩の時間になるとよく会うけれど話をした事はなく
すれ違いながら会釈をするだけの犬連れさんというものがいる。
言葉は交わさないけれど、お互いの犬を見つめ「今日も元気そうだ」
と思いながらすれ違ってゆく。
そんな犬と飼い主さんを、ある日を境に急に見かけなくなる事は
とても寂しい気持ちになり、何かあったのではと不安になる。

今朝は、しばらくぶりにそんな犬と飼い主さんに会った。
年齢も知らないその犬は、少し見ないうちに後ろ足が不自由になっていた。
つい数ヶ月前まで元気に歩いていたのに、今日は立っているのがやっとで
前に進む事ができない様子だった。
飼い主さんはかなり年配の男の方で、左手に犬のリードを持ち
右手でシルバーカートのような物を押していた。
犬だけでなく、飼い主さんもシルバーカートなしでは歩けないのだろうか?

以前の二人とはあまりにも違うその姿に、少しショックを受けながら
いつものように会釈をしながら二人を追い越し、少し歩いて振り向いた。

杖がわりのシルバーカートと思っていたそれは、赤ちゃん用のベビーカーで
犬はベビーカーに乗せられて、飼い主さんがそれをゆっくりと押しながら
道を右に曲がる所だった。

犬はちょこんとそれに座り、背もたれに体を預けこちらを見ていた。
その顔は、とても穏やかで微笑んでいるようにさえ見える。
あぁ二人は幸せなんだなと、安堵と同時に一緒に年老いていく二人が
何だかうらやましくなった。



犬は人間の4倍の速さで年をとる。

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拓、おまえもいつか私を追い越してゆくのかい?


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ナナ、推定年齢が正しければ、来年は母さんと同い年だね。



私にはたった1日でも、ナナと拓には4日分の意味がある。
たった1時間のお留守番が、ナナと拓にとっては4時間が過ぎた事になる。
そう思うと、1秒だって離れたくはないと思う。

どうか、私がお婆さんになるまで待っていておくれね。
出来るだけゆっくり、そして出来るだけ長く、一緒にいようね。

今日のあの二人のように、「幸せです」と微笑む事が出来るように。