朝から日が沈むまで、山の中で過ごした。
山の中は以外と暗くて、でも所々光りが降り注ぐ場所があって
高い高い木の天辺から降り注ぐスポットライトのような光。
そんな場所で、大きな山百合を見つけた。
群生ではない、1本だけ大きく伸びた山百合だ。

誰にも知られず、けれど一切の手抜きをせず美しく咲く姿に圧倒され
近寄る事さえ躊躇われた。
子供ながらに、私もそうありたいと思った。
どんな環境でも、誰かに褒められる事が無くても、愛されなくても
あんな風に凛と立つ人間になりたいと思った。
今でも、あの時見た山百合の姿を時々思い出す。
辛い時、自分の不遇を嘆きそうになった時、誰かのせいにしたくなった時
凛々しく咲く山百合の姿を思い出す。

「レンゲ」
憶えている人も多いであろう。

片目がない「レンゲ」
けれど、そんな事全く気にせず咲いている。
今日、レンゲの笑顔を見て山百合を思い出した。

これまで決して不幸ではなかったかもしれないけれど、最高に幸せだった訳ではない。
けれど、そんな事は全く気にしていないレンゲ。

レンゲは、今が楽しい。
レンゲは、楽しくて仕方が無い。

レンゲだけではない、ここにいる犬は全員、捨てられた過去をもつ。
捨てられて可哀想?
いや、人が思うほど、この子達は不幸を感じていたわけではないと思う。
いつだって、その場所で精一杯生きてきた。
レンゲの幸せを願う多くの人がいる。
幸せな事だ。
けれど、レンゲもいつの日か
一人の人間と深く強く心が通じるという事が、どれ程の勇気をくれるものか。
誰よりも愛する人に、誰よりも愛され大切にされる事がどれ程心地良いものか。
人間が「絆」と呼ぶもの。
そんな繋がりがあることを、知って欲しいと思う。

レンゲちゃん、ただ今「ニコキナ家」で修行中。
物事に執着が無く、おおらか。
体をべったりくっ付けてくる。
たまらん。

5月6日の「譲渡会&バザー」に来れば、レンゲちゃんに会えますよ。
なんだ宣伝かよ!と思ったあなた。
そうですが、何か?(笑