激しい感情が無くなった。
涙はまだ止まらないけど
でも、静かな涙になった。
私は、執着を捨てられたのかな。
死はとても静かで、静寂は永遠に続くという事がわかったのかな。
どんなに願っても、ナナはもう戻ってこない。
戻ってこない。でも、いつもそばにいる。
そう思えるようになったのかな。
私はナナと5年間暮らせた、ナナは私の子供として死ねた。
あんなに頭が良くて、美人な子の親になれた。
お互い目を見れば相手の気持ちが分かるほどに、心を通わせる事ができた。
それで十分。これ以上の幸せは無い。
昨夜、久しぶりにナナの夢をみた。
最近は、夢を覚えていられなかったり、夢の中のナナが何も喋らなかったりして
このまま、もう、ナナと話をする事はできないのかな?と思っていた。
夢の中で私は、大勢の人と記念写真を撮ろうとしていた。
カメラマンが皆を並ばせていると、ナナが走ってきて
「わたし、戻ってくることにした」と言った。
私は「戻ってきたら、また苦労するよ」と反対した。
でも、まっすぐに見上げるナナの目を見て「わかった」と言った。
本当は、ほっとしていた。
「やっと戻ってきた」「これで全員揃った」と、ナナを真ん中に座らせて
写真を撮ったところで、目が覚めた。
もう戻ってこないって、やっとそう思えるようになったのに
なんでそんな事言う?
母さん、ちょっと期待しちゃうじゃないか(笑)
でも、いつかまた、ナナに会えるんだね。
そうそう、拓さんはね
毎日考える事が多くて大変そうだ。
今までは、ナナを頼りにして、ナナを見ていればよかったからね。
昨日、私は何度も出かけたり戻ったりしていた。
玄関で私を待つ拓さん、頭を触ると熱くなってた。
普段と違う私の動きに、脳みそがショートしたらしい。

私の用事が済んで、やっと安心して眠る拓さん。

ナナちゃんがいる頃は、いつも安心して寝ていたね。

拓さん、またナナに会える日まで
お互いがんばろうね。